宮脇 昭著『森の力 生植物生態学者の理論と実践』(講談社刊)を読みました。
この方のことを知ったのは夏に京丹後市 「和久傳ノ森」を訪問した際です。

森を作ることを企業や地方公共団体とともに行ってきた方です。
この本の中でおっしゃっているのは、
「私はロマンチックな自然愛護とは無縁です。研究者と言うのは極めてエゴイストです」ということ。
私も恥ずかしながらこの本を読むまで、植樹がどのような木であればいいのかよくわかっていませんでした。
実際戦後、マツ、スギ、ヒノキが多く終えられたのですが、これらは日本の風土を守ることにはならなかったのだそうです。
植物生態学者として宮脇氏は、シイ、タブ、カシ類の森が大事だと主張されています。
それはいわゆる日本に古来からある“鎮守の森“にあった木々です。
“鎮守の森“という言葉に対して、軍国主義の日本を関連付けて嫌がる人たちが少なからずいるらしいのですが、
宮脇氏は困惑しつつ専門用語で言うと「潜在自然植生」との共存だとおっしゃいます。
ロマンチストでもなければ軍国主義など一切無縁。まさに熱い学者さん!
そして実際、阪神大震災ではシイノキ、モチノキ、カシノキ、シロダモは倒れていなかったとのこと。
また阪神大震災では火災も広がりましたが、アラカシの木で火が延焼が止まっている例もあったとのだそう。
東日本大震災の時も、仙台市に隣接したイオン多賀城店に植えたタブノキなどはしっかりと残っていたのだとか。
残念ながら2021年お亡くなりにまりました。謹んでご冥福をお祈りします。